その場所において、昼間の太陽光がそうであるように、人工照明によってつくられた光も自然な雰囲気となるようにつくりたい。音楽ホールが一つの楽器となるようにつくられているように、その場所も一つの照明器具となるように光をつくりたい。
建築空間において、光のある場所で人は対象を認識し、活動し、生活し、その設計の意図を享受することができる。また、闇があってこそ光を認識できるともいえます。

照明デザインとは、光源を収める器具と、そこから出た光子が当たったところを人が光と捉えた上でデザイン（計画）することです。ペンダントライト、フロアスタンドライトのように、その場所の装飾的価値を高めるための様式の要素としての照明デザインも存在しますが。

昼間、建築のモノ自体は変化しなくても時間の経過と共に空間の印象が光によって変化します。それは地球が自転、公転しているのが原因ですが、夜はもちろん、日照時間や天候の変化により、太陽の光が届かなくなった場所や対象の姿を人が認識させるための機能面だけでなく、人の精神を豊かにし、幸せを感じたり、美しい気持ちを呼び覚ます素材、物語を伝えるメディアであるとも言えるのが、現代の光、照明デザインではないでしょうか。照明デザインは本質的には演出ではないと考えます。

私は”建築を光に翻訳する”という方法で照明デザインを遂行すると、自然な光をつくることができるのではないかと考えています。クライアントのVoiceをカタチにトランスフォームした結果が建築であり、トランスフォームのプロセスを光にトランスレイトした結果が照明デザインであると考えます。照明デザインに翻訳という概念を導入し、翻訳に必要な様々な光の要素・ヴォキャブラリィをLIGHTING CONTENTSと称し、整理していきます。